記憶
- 大橋梓

- 2024年8月2日
- 読了時間: 2分
黒柳徹子さんの『続窓ぎわのトットちゃん』
戦争中の幼少期から、戦後の少女期、その後の大活躍まで、
ありとあらゆることが本当にはっきりと細かく描かれています。
確か黒柳徹子さんは90歳。
記憶の鮮明さ、詳細さに驚きます。
そして同時に、少し安心もしています。
私もどちらかというと、細かいことを鮮明に覚えているのです。
でも黒柳徹子さんほどかというと、そうでもない。
比べたら、大したことないな。
「すぐ忘れるんです」っていう人が羨ましくて、
「よくそんな細かいこと覚えているね」と、
あきれられるのが嫌だったけど、
これからは「黒柳徹子さんはもっともっと覚えている、私は大したことない」と言える。
忘れない、というのは時に固執だ、と嫌がられます。
でも、過ちを繰り返さないため、
失敗を回避するために備わった、
立派な才能だと思うのです。
そういう人がいても良い。
忘れることも必要だけれど。
忘れた、と言っている人の中には、
そう言わなければやってられない人も居るんじゃないかな。
特に、戦争については、そう思います。
戦時中、戦後のお芝居に出る度に、
ほんのわずかな時間だけれど、疑似体験をして、
他人事から自分事になった瞬間、
ものすごく悲しい。
実際に経験した方々の、何万分の1だけど、
それでも、ものすごく、実際に胸が痛みます。
皆がそうやって演じていると思います。
そして観た方も、そうだと。
それで良いんだ、と思わされた1冊でした。



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