大橋梓
旬の旅
先月読んだエッセイが心に残っています。
作家の柚月裕子さんが書かれた「旬の旅」。
旅には、年齢に応じた旬がある、という内容でした。
昔、日本が好景気に沸くころ、
周りの友達と同じようにハワイに行きたかった。
けれど、当時は行けなかった。
という柚月裕子さんのご友人。
最近になって念願のハワイへ行ったけれど、
結果、「今の自分とはズレがある」と感じたそうです。
だから、「行きたい時に行きたい場所へ行かなくちゃ!」
と、急き立てる内容ではなくて、
「今の心と体に向き合って、自分にとっての旬の旅に出かけたい」
と。
せっかく出かけるなら、少しは無理して、
より遠くへ、より派手なアクティビティをしに、行った方がいいのかな、
と、ふと思うこともありますが、
大切なのは、今の自分が楽しめることなんだな。
最近は、旅というとほとんど仕事なので、
「これじゃダメだ、おもしろくない人間になってしまう。」と、
危機感を感じていました。
だけど、
乗ったことのないバスや電車に乗って、知らない町を歩く。
「家へ帰ったらこの話をしよう」と思いながら。
そして、もし時間があればお土産を選ぶ。
これが、今の私にとっての旅の醍醐味なので、
今はこれでいいのかもしれません。
「旬の旅」を読んだのは、新幹線の座席ポケットに差し込んであった『トランヴェール』の6月号。
(JR東日本が発行している新幹線の車内サービス誌)
柚月裕子さんが連載されている「旅のまにまに」というコーナーです。
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