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大橋梓

記憶

黒柳徹子さんの『続窓ぎわのトットちゃん』


戦争中の幼少期から、戦後の少女期、その後の大活躍まで、


ありとあらゆることが本当にはっきりと細かく描かれています。


確か黒柳徹子さんは90歳。


記憶の鮮明さ、詳細さに驚きます。


そして同時に、少し安心もしています。


私もどちらかというと、細かいことを鮮明に覚えているのです。


でも黒柳徹子さんほどかというと、そうでもない。


比べたら、大したことないな。


「すぐ忘れるんです」っていう人が羨ましくて、


「よくそんな細かいこと覚えているね」と、


あきれられるのが嫌だったけど、


これからは「黒柳徹子さんはもっともっと覚えている、私は大したことない」と言える。


忘れない、というのは時に固執だ、と嫌がられます。


でも、過ちを繰り返さないため、


失敗を回避するために備わった、


立派な才能だと思うのです。


そういう人がいても良い。


忘れることも必要だけれど。


忘れた、と言っている人の中には、


そう言わなければやってられない人も居るんじゃないかな。


特に、戦争については、そう思います。


戦時中、戦後のお芝居に出る度に、


ほんのわずかな時間だけれど、疑似体験をして、


他人事から自分事になった瞬間、


ものすごく悲しい。


実際に経験した方々の、何万分の1だけど、


それでも、ものすごく、実際に胸が痛みます。


皆がそうやって演じていると思います。


そして観た方も、そうだと。


それで良いんだ、と思わされた1冊でした。








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