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  • 大橋梓

ライオンのおやつ

『ライオンのおやつ』

小川糸さん著


瀬戸内にある「ライオンの家」というホスピスが舞台です。

舞台が舞台なので、


ヒロインの雫さん含め、


「ライオンの家」の住人たちにとって、「死」はそう遠くない未来です。


健康な人間だって、毎日確実に死にむかって進んではいますが、


もっともっと身近に「死」というものがある。


だからこそ、なのかな?


「食べる=生きる」というテーマがズドーンと真ん中に流れているお話です。


実際、ライオンの家の人たちも、食べられなくなると、一気に身体が動かなくなってしまう。


ここでは、


朝ご飯に、365日毎日違う種類のお粥を出してもらえます。


そして、毎週日曜、思い出のおやつをリクエストできる、


おやつの時間があり、ぜーんぶ美味しそうなんですが、


沢山の食べ物が出てくる中で、唯一、食べたことがないものが出てきました。


「蘇」です。


そ。


日本史で、蘇我氏、と答える時か、


蘇生、くらいでしか使ったことのない漢字です。


今回三つ目に知った使い方。


仏教用語の「醍醐味」って、この蘇の味のことだそうで。



途中脱線し、仏教の本も読むと、


牛乳を精製していくと最後の最後にできるのが、「蘇」。


最高の味わい、ってことでしょうか。

 

この順番は諸説ありますが、


牛乳→ヨーグルト→生クリーム→バター→蘇


ということなのかな?


この、蘇、が、どんな場面で出てきたかというとね、


ヒロインがライオンの家に入居したその時なんです。


生きる醍醐味を味わってという言葉と共に。


食べられる限り、食べてください、生きてくださいってことですよね。


私はいかに食べないか、食べずに過ごせるか、考えている時期があり、


しょっちゅうお腹グーグー鳴らしていたので、


あれは良くない時間だったと反省しました。


それにね、


仕事をしたり、勉強や運動をした日は「今日はよく頑張った!」と思えますが、


何も出来なかった日は、


「今日は何もしなかった」と落ち込んだり。


でも、起きて、ご飯を作って食べる、それだけでも「生きて」いるんだなぁと。


まだまだこれからですが、生きる醍醐味、味わい尽くしたいと思います^ ^


蘇、は作るのが大変そうだけど、いつかチャレンジしたい!!


(家中ミルクの匂いになるらしいので、今は勇気が無い!)


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